Vol.6 東京に集中する若い女性たち – 地方消滅の静かな危機〜東北地方の現状と課題(1)

ブログ/blog ①

前回の振り返り

前回(Vol.5)は、人口規模が国内最大の東京都における人口動向に焦点を当てました。東京都における社会増は他の地域と比べて際立って高く、その中でも女性の増加男性の約1.5倍という特徴が浮き彫りになりました。特に20代の若い世代の女性の増加傾向が目立ちます。

この現象が地方の未来にどのような影響を与えるのか、ここからは地方に目を転じ、データを基に考察していきます。

今回の結論

(1)過去10年間で転出数の多い地域では、男性に比べて女性の転出が多い傾向。

(2)転出した女性の9割が、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県(東京圏)への転入を選択。

(3)女性の転出は東北地方からが最も多く、全国の転出数全体の2割以上を占める。

状況をデータで見ると・・・

まず、2010年から2019年の10年間における各都道府県の転出入を見てみましょう。表6-1は増加した地域、表6-2は減少した地域をまとめています。

表6-1 転入超過「プラス」女性純増ランキング(2010〜2019年)

表出典:天野馨南子(2021)人口動態データで読み解く 「東北エリア人口減少の本当の姿」―誰が去り、そして戻ってこなかったのか―、東北活性研42 *以下、表6-1〜3まで全て同様

表6-2 転入超過「マイナス」女性純減ランキング(2010〜2019年)

過去10年間において、38の道府県(表6-2)から9の都府県(表6-1)へと、全体で1,225,274人が移動しています。男女別に見ると、女性は男性の1.3倍9の都府県へ移動していて、地域間の移動には性別の影響が見て取れます。さらに、女性の9割は1都3県(表6-1の1〜4位まで)へ、なかでも東京都への移動が多いことが判ります。

次に、9の都府県へ転入した女性の起点を、エリア(地方)ごとにまとめます。

表6-3 広域で見た移動による女性人口純減数(2010〜2019年)

9の都府県へ転入した女性701,891人の起点は、東北地方が最も多く、全体の2割以上を占めています。表6-2では女性減トップ15位までに東北地方の5県が入っていますね。そして、東北地方の中部地方が続いていることが判りました。

ここまで、日本全国の女性の転出入の動向を、各都道府県および、地方(エリア)ごとに見てきました。この女性の流出傾向は、地方の人口構成や経済に大きな影響を与える可能性があります。次回は、東北地方の具体的な事例を通じて、さらに深掘りしていきます。

まとめ

(1)過去10年間で転出数の多い地域では、男性に比べて女性の転出が多い傾向。

(2)転出した女性の9割が、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県(東京圏)への転入を選択。

(3)女性の転出は東北地方からが最も多く、全国の転出数全体の2割以上を占める。

参考文献

①天野馨南子(2021)人口動態データで読み解く「東北エリア人口減少の本当の姿」―誰が去り、そして戻ってこなかったのか―、東北活性研42 https://www.kasseiken.jp/2021/02/02/vol42/