Vol.07 若い女性はどこへ行った? 東北地方編-2 

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前回の振り返り

前回(vol.6参照)は、転出入の動向を各都道府県で見てみました。その結果、過去10年間で転出の多かった地域では、男性に比べて女性の転出が多い傾向が判りました。また、転出した女性の行き先は、9割東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)でした。さらに、女性の転出状況をエリア別に見ると、東北地方からが最も多く、全体の2割以上を占めていました。

今回はその東北地方の状況を取り上げ、もう少し詳しく見てみることにします。

今回の結論

(1)女性の転出が多い東北地方を見ると、東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)へ向かう女性の世代は、20〜24歳が中心。

状況をデータで見ると・・・

前回の結果を受けて、転入数の最も多い東京都を例として移動する女性の動向を見てみます。

表7-1 女性が東京都へ転出する割合(2019年)

表出典:橋本有子(2021)加速化する地方の人口減少・少子高齢化に歯止めをかける(その1)
〜東北の若年女性はなぜ東京を目指すのか?〜東北活性研42

図表7-1は、2019年の各地から東京都へ転出した人数および、男女別の割合を比較したもので、女性の転出割合が男性よりも多い県の順に上位から並んでいます。前回(vol.6)同様、10位までの半数東北地方の秋田、山形、青森、岩手、福島の5県が占め、さらに上位3位が全て東北地方の県(秋田、山形、青森)でした。

次に、女性転出する割合の多い東北地方5県(秋田、山形、青森、岩手、福島)の状況をさらに細かく見てみましょう。

グラフ7-1 東北の若年女性の県内外への転出数(2021年)ー部分ー

グラフ出典:松田淳ほか(2023)東北地方からの若年女性の人口流出に関する研究〜女性たちはなぜ故郷をあとにするのか〜岩手県立大学宮古短期大学部研究紀要33 *ブログ筆者による加工あり。

グラフ7-2は、2021年の東北地方の5県の若年女性の移動の状況を表しています。5県からの転出20〜24歳が中心であり、且つ、東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)へ移動する女性が全体に多いことが見て取れます。このデータは2021年の1年間の結果ですが、Vol.5で判った東京都へ移動する女性のほとんどが20代であることと呼応しており、コロナ渦中であっても傾向は変わっていないことが判りますね。

なお、同県内や宮城県(東北地方の中心都市・仙台市を抱える)への転出が各県に一定程度あること、福島県の移動人数が他県と比較して多いことにも注目しておきたいと思います。

今回は東北地方の状況を見てきました。他の地方の状況はどのようになっているのでしょうか。次回は東北地方に次いで女性の転出が目立つ、中部地方の例を見ていきます。

まとめ

(1)女性の転出が多い東北地方を見ると、東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)へ向かう女性の世代は、20〜24歳が中心。

参考文献

①橋本有子(2021)加速化する地方の人口減少・少子高齢化に歯止めをかける(その1)〜東北の若年女性はなぜ東京を目指すのか?、〜東北活性研42 https://www.kasseiken.jp/2021/02/02/vol42/

②松田淳ほか(2023)東北地方からの若年女性の人口流出に関する研究〜女性たちはなぜ故郷をあとにするのか〜、岩手県立大学宮古短期大学部研究紀要33 https://iwate-pu.repo.nii.ac.jp/records/4051