前回の振り返り
Vol.6以降、地方における転出入の状況を見てきました。その結果、女性の転出が男性よりも多い傾向にあり、若い世代の、特に20〜24歳の女性の転出傾向が浮かび上がりました。全国規模でこの状況を見てみると、女性の転出者は20代前半に突出して集中しており、これは男性にはない、女性のみの特徴であることが判りました。
今回は、こうした状況から生じていることの一端について見ていくことにします。
今回の結論
(1)転入よりも転出者数の多いエリアでは、女性の転出が男性よりも多い傾向にあり、加えて「20代前半が突出して多い」という女性の転出の特徴が重なり、若い世代の性別人口の不均衡が生じている。
状況をデータで見ると・・・
エリア毎の、若い世代の男女数に着目してみましょう。グラフ12-1は、若い世代(20~39歳)の男性100人に対する同世代の女性数を都道府県別に示したものです。
グラフ12-1 男性100人(20~39歳)に対する同世代の女性数(2023年)
男性に比較して女性の少ないエリアとして、便宜的に右端から16番目まで(網掛けした部分)をグループとして注目してみましょう。
このグループに、女性が転出する割合の多い東北地方の5県(Vol.7参照)が全て含まれています。また、東北地方に次いで女性が転出する割合の多い中部地方の9県中6県(Vol.8参照)も、含まれます。また、愛知県を除く全ての県で、転入よりも転出者数が多く、女性が転出する割合の多い傾向にあります(Vol.6参照。愛知県は男性の転入の影響か。)。こうした状況と、女性の転出に特徴的な「20代前半の転出が突出して多い」という状況を重ね合わせれば、これらのエリアにおいて若い世代の女性数が男性数よりも少ないことは、不思議ではありませんね。
これらのエリアでの、若い世代の性別人口の不均衡という状態の積重ねが、中長期的にエリアに何をもたらすのか、留意する必要があると言えましょう。
ところで、転出した若い女性たちは、その後、生活の拠点とするエリアについてどのような選択をしているのでしょうか。転出したまま?あるいは、Uターンしているのでしょうか?次回以降は、若い女性たちの転出後へと視点を移します。
まとめ
(1)転入よりも転出者数の多いエリアでは、女性の転出が男性よりも多い傾向にあり、加えて「20代前半が突出して多い」という女性の転出の特徴が重なり、若い世代の性別人口の不均衡が生じている。
参考文献
①愛知県(2023)愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略2023-2027 https://www.pref.aichi.jp/press-release/senryaku2023-sakutei.html
②内閣府(2023)地域の経済2023 https://www5.cao.go.jp/j-j/cr/cr23/cr23.html