Vol.18 東京圏に転入した人々の選択—データで見る地元回帰の可能性

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前回の振り返り

前回(vol.17)は、地方から東京圏への若い女性の転出に関して、その要因の一つとして「閉塞感」に焦点を当てました。地方からの転出は単に仕事や進学の機会を求めるだけではなく、より深い社会的・文化的な要因が絡んでいる可能性があることを指摘しました。

では、東京圏(一都三県)に転入した人々は、その後、地元に戻るのでしょうか。Vol.13でこのテーマを取り上げていますが、ここでは別のデータを使って、東京圏転入した人々のその後の意向を再度、押さえておきたいと思います。今回は全体の状況を見ていきます。

今回の結論

(1)東京圏「外」出身で現在東京圏に在住する人々の約半数(47%)は、出身地で働く意向がない。東京圏に転入した後に地方に戻る意向は弱く、東京圏に定住する意向の方が強い。

状況をデータで見ると・・・

次のグラフ18-1は、東京圏出身者と東京圏の外の出身者に対し、出身地で働く意向の有無を尋ねた調査データです。

グラフ18-1 東京圏と東京圏「外」出身者の、出身地で働く意向の有無

グラフ出典:国土交通省(2021) 市民向け国際アンケート調査結果 *設問:あなたの仕事観についてお聞かせください。 出身地で働きたいと思いますか。*調査対象者:東京圏(一都三県)の外の出身で、東京圏の在住者 *出身地:15歳になるまでの間で最も長く過ごした地域 *調査期間:2020年9月18日 – 2020年10月8日 *インターネットによるアンケート調査 *複数回答 *ブログ筆者によるアルファベット付加、網掛けの加工あり

グラフでA〜Dの4つのパターンを見てみましょう。青く網を掛けたCのパターンは、「東京圏の外の出身で東京圏に在住する人々」の意向です。19%(そう思う、どちらかと言えばそう思う)が出身地に戻る意向があるのに対し、47%(そう思わない、どちらかと言えばそう思わない)が東京圏から地元に戻る意向がないと回答しています。そして他のパターンと比較すると、Cのパターンの人々は出身地に戻る意向最も低いことが判ります。

Vol.13での結果と同様、一度東京圏に転入すると、地元に戻る選択肢を考えなくなる傾向があることがこのデータからも明らかです。

地方から東京圏へ移住した人々は、短期的な転入ではなく、より長期的に東京圏での生活を視野に入れている可能性があり、その後、彼らは東京圏での生活に適応し、新たな社会的・経済的基盤を築いていることを示唆していると思われます。

今回は全般の意向をデータで見てみました。次回は、若い女性の動向に焦点を当て、彼女たちの選択と、なぜその選択をするのか、背景やヒントを探っていきたいと思います。

まとめ

(1)東京圏「外」出身で現在東京圏に在住する人々の約半数(47%)は、出身地で働く意向がない。東京圏に流入した後に地方に戻る意向は弱く、東京圏に定住する意向の方が強い。

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参考文献

①国土交通省(2021) 市民向け国際アンケート調査結果https://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/kokudoseisaku_tk3_000107.html