Vol.21 若い女性の都市への流出ー東北地方・中部地方の現状から:小括 2 

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1. はじめに

近年、日本の地方で静かに進行していること、それは若い女性の都市部、特に東京圏への流出です。前回(vol.20)では、状況の概観(詳細はVol.1〜Vol.5参照)をまとめました。今回は、具体的な事例として、東北地方および、中部地方の実態をまとめます(詳細はVol.6〜Vol.9参照して下さい。最下段のリストから移動出来ます)。

2. 東北地方の現状

女性の転出傾向

東北地方は、全国で最も女性の転出数が多い地域です。2010年から2019年の10年間で、東北地方からの女性の転出は、全国の2割以上を占めています(表6-3参照)。

表6-3 広域で見た移動による女性人口純減数(2010〜2019年)(Vol.6から再掲)

表出典:天野馨南子(2021)人口動態データで読み解く
「東北エリア人口減少の本当の姿」―誰が去り、そして戻ってこなかったのか―、東北活性研42
*「女性純減数」および「割合」の合計(全国)と、4地方の合計とが一致しないが、
ここでは、数字の大きい上位4地方を示し、それ以外の地域を省略したと思われる(ブログ筆者)

20〜24歳女性の転出が顕著

東北地方では特に、20〜24歳の女性東京圏へ流出する傾向があり、この年齢層が移動の中心であることが判りました(グラフ7-1参照)。Vol.5で取り上げた東京都転入状況「20代の若い世代の転入数が最も多く」「さらに20代前半を見ると男性よりも女性の増加傾向が目立つ」を裏付ける結果となっています。

グラフ7-1 東北の若年女性の県内外への転出数(2021年)ー部分ー(Vol.7から再掲)

出典:松田淳ほか(2023)東北地方からの若年女性の人口流出に関する研究
〜女性たちはなぜ故郷をあとにするのか〜岩手県立大学宮古短期大学部研究紀要33 
*ブログ筆者による加工あり。

3. 中部地方の現状

転出傾向

次に中部地方を見てみましょう。中部地方は東北地方に次いで女性の転出数が多い地方です。長野県静岡県を見てみると、若い世代の転出が目立ち、20〜24歳の女性転出傾向が顕著です(グラフ8-2参照)。この傾向は東北地方と類似しており、ここでもVol.5での結果を裏付ける結果となっています。

グラフ8-2 静岡県の年齢別、男女別の社会増減(2014年)(Vol.8から再掲)

出典:望月毅(2015)減少が加速する静岡県の人口-II〜雇用創出と若年層対策がカギ〜、
SERI monthly : 明日の地域と企業の情報誌 53 (10)
*グラフ右下の資料とは、総務省「住民基本台帳人口移動報告」を指す(ブログ筆者)

名古屋圏の状況

ところで中部地方には日本三大都市圏の一つ、名古屋圏があります。都市部の状況はどのようになっているのか、この点を名古屋市を抱える愛知県の状況から見てみましょう。愛知県は、2010〜2019年の10年間では転入超過がプラスでした。しかし、2011年以降、東京圏への転出が徐々に増加し、2020年以降は転出数が転入数を上回る状況となっています。特に20〜24歳の若年女性転出が目立ちます(グラフ9-2参照)。三大都市圏を有する愛知県でも、中部地方の他のエリア(長野県、静岡県)や東北地方と共通の結果となりました。

グラフ9-2愛知県の東京圏に対する年齢階級別の人口移動の状況(女性、2022年)(Vol.9から再掲)

グラフ出典:愛知県(2023)愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略2023-2027

4. 若い女性の流出が地方に与える影響

若い女性の地方から都市部、特に東京圏への流出という現象について、具体的に地方の実情を見てきました。地方からの若い女性の流出は、人口構成への影響を与え、地方の人口減少と高齢化を加速させる可能性があります。それだけでなく、地域の活力や経済深く影響を与える可能性があるでしょう。つまり、若い女性の流出は、地方の持続可能性に大きな影響を与えるのではないでしょうか。

次回は流出の原因について、まとめます。

Vol.6 東京に集中する若い女性たち – 地方消滅の静かな危機〜東北地方の現状と課題(1)

Vol.7 東京に集中する若い女性たち – 地方消滅の静かな危機〜東北地方の現状と課題(2)

Vol.8 東京に集中する若い女性たち – 地方消滅の静かな危機〜中部地方の現状と課題(1)

Vol.9 東京に集中する若い女性たち – 地方消滅の静かな危機〜中部地方の現状と課題(2)

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参考文献

①天野馨南子(2021)人口動態データで読み解く「東北エリア人口減少の本当の姿」―誰が去り、そして戻ってこなかったのか―、東北活性研42 https://www.kasseiken.jp/2021/02/02/vol42/

②橋本有子(2021)加速化する地方の人口減少・少子高齢化に歯止めをかける(その1)〜東北の若年女性はなぜ東京を目指すのか?、〜東北活性研42 https://www.kasseiken.jp/2021/02/02/vol42/

③松田淳ほか(2023)東北地方からの若年女性の人口流出に関する研究〜女性たちはなぜ故郷をあとにするのか〜、岩手県立大学宮古短期大学部研究紀要33 https://iwate-pu.repo.nii.ac.jp/records/4051

④長野県総合計画審議会 (2022)次期総合5か年計画の策定について(答申案) https://www.pref.nagano.lg.jp/kikaku/kensei/soshiki/shingikai/ichiran/sogokeikaku/plan3/documents/shiryou2_toushinan.pdf

⑤岩間晴美(2016)若年女性の流出問題を考える、SERI monthly : 明日の地域と企業の情報誌 54 (8・9) https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I027579585

⑥望月毅(2015)減少が加速する静岡県の人口-II ~雇用創出と若年層対策がカギ~ 、SERI monthly : 明日の地域と企業の情報誌 53 (10) https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I027579585

⑦愛知県(2023)愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略2023-2027(愛知県人口問題対策プラン)https://www.pref.aichi.jp/press-release/senryaku2023-sakutei.html