前回の振り返り
前回(vol.18)では、東京圏「外」出身で現在、東京圏(1都3県、以下同様)に在住する人々(男女)の約半数(47%)が出身地で働く意向を持っていないことを示しました。
今回はさらに、若い女性のみに焦点を当て、彼女たちがなぜ地元に戻らない選択をするのか、そのヒントを探ります。
今回の結論
(1)東京圏に移住した若い女性の満足度は、他の地域の居住者と比較して最も高い。
(2)東京圏居住の女性の多くが、転居を考える場合、引き続き東京圏での生活をイメージしていて、その割合は他の地域の居住者と比較して際立って高い。
状況をデータで見ると・・・
東京圏居住の満足度
グラフ19-1は、東北圏(東北6県と新潟県、以下同様)および、東北圏と東京圏以外の出身の女性を対象に「現在の暮らしに満足しているか」を尋ねた結果を示しています。
グラフ19-1 現在の暮らしの満足度

調査対象者の調査時点の居住地は、東京圏、仙台市、地元です。東京圏居住者の出身地には、東北圏(A)と東北・東京圏以外(E)の2つのパターンがあります。地元居住者には、転出後に地元に戻った人々(C)、地元定着者(D)の2つのパターンがあり、東北圏出身で仙台市居住者(B)を入れて全体で5つのパターン(A〜E)があります。
東北圏の出身で東京圏に居住する女性(A)の68.7%が「非常に満足」または「まあ満足」と回答しており、5つのパターンの中で最も高い満足度の割合を示しています。東北圏以外の出身(東京圏を除く)で東京圏に居住する女性(E)も69.0%が現況に満足しており、ほぼ同様の傾向が見られます。
この結果から、地方から東京圏に移住した女性たちは、地元や地方都市に住むよりも高い満足感を得ていることがわかります。
転居意向の分析
次に、グラフ19-2を見てみましょう。ここでは「暮らしを変更する場合、どの地域をイメージするか」を尋ねています。
グラフ19-2 現在の暮らしを変える場合、イメージする転居先

東北圏の出身で東京圏に居住する女性(A)の70.3%が、転居先としても東京圏をイメージしています。東北圏(除く東京圏)以外で東京圏に流入した女性(E)も65.9%が同様の回答をしています。他の3つ(B、C、D)のパターンでは、イメージする転居先が東京圏居住者(A)に比較するとばらつきがあり、東京圏居住者との差が際立っています。
つまり、東京圏に流入した若い女性たちは、現在の暮らしに高い満足度を感じるだけでなく、転居を考えた場合にも引き続き東京圏での生活を想定する傾向が強いのです。こうしたことから、東京圏に流入した若い女性が出身地へ戻らない理由の一端が見えてくるのではないでしょうか。
今回は、東京圏に流入した若い女性の居住地に関する意向を、データを使って掘り下げてきました。次回以降は、これまでを振り返りつつ、問題点を整理しようと思います。
まとめ
(1)東京圏に移住した若い女性の満足度は、他の地域の居住者と比較して最も高い。
(2)東京圏居住の女性の多くが、転居を考える場合、引き続き東京圏での生活をイメージしていて、その割合は他の地域の居住者と比較して際立って高い。
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参考文献
①橋本有子(2021)加速化する地方の人口減少・少子高齢化に歯止めをかける(その2)~若い世代から積極的に選ばれる東北の実現に向けて〜東北活性研43 https://www.kasseiken.jp/2021/04/30/vol43/