前回の振り返り
人口規模が国内最大の東京都。人口の社会増減率を見ると、東京都の社会増は全国の他のエリアに比べて際立って高く、さらに東京都の増加数を男女比で見ると、女性の増加数が男性の約1.5倍であることが前回(Vol.04 若い女性はどこへ行った?)判りました。一体、どの年代が増加しているのでしょうか。今回は、その点を詳しく見てみましょう。
今回の結論
(1)東京都への転入者数の多くを20代の若い世代が占め、さらに最も多く転入している20代前半を男女別で見ると、男性よりも女性の転入の増加傾向が目立つ。
状況をデータで見ると・・・
今回は、前回の動向をさらに年代別で見ていきます。まず、東京都における転出入の状況を見てみましょう。
グラフ5-1 東京都の年齢別の転入超過数(2010年〜2018年)
グラフ5-1は、東京都の年齢別の転入超過数(2010年〜2018年)を示しています。赤い折線が総数を示していて、増加傾向であることが判ります。内訳を棒グラフで見ると、20〜24歳(棒グラフの緑部分)の転入数が最も多く、しかも毎年増加しています。次いで25〜29歳(棒グラフの黄色部分)が多く、こちらもほぼ、毎年増加しています。つまり、東京都への転入者の多くは20〜29歳であり、毎年増加していることになります。
次に、最も転入数の多い20〜24歳に注目し、男女別で見てみましょう。
グラフ5ー2 東京都への年齢別の転入・転出状況(20〜24歳)
グラフ5-2は、東京都の年齢別の転入・転出状況を、20〜24歳に絞り男女別に表したものです(2010年〜2018年)。20〜24歳の東京都への転入超過数(転入者数から転出者数を差し引いた数)は男女とも増加する傾向を示し(折線グラフ)、特に女性の転入超過数(赤の折線グラフ)の増加傾向が男性(青の折線グラフ)よりも強いことが判ります。前回まで見てきたことと共通しますね。東京都では20代の若い世代の転入数が最も多く、且つ、増加傾向であり、さらに20代前半を見ると男性よりも女性の増加傾向が目立っています。
ここまで、若い女性たちの地方から都市への移動が増加していること、その移動先は東京都とその近県であることが判りました。さらに、東京都に注目すると、男性の約1.5倍(2018年)の女性の転入数があり、男性と差を広げつつ転入数が増加していることが判りました。東京都の人口規模は全国でも大きいため、様々に影響があると思われます。
ところで、地方の状況はどのようになっているのでしょうか。次回以降は地方に焦点を当て行きます。
まとめ
(1)東京都への転入者数の多くを20代の若い世代が占め、さらに最も多く転入している20代前半を男女別で見ると、男性よりも女性の転入の増加傾向が目立つ。
参考文献
①市川宏雄 監修(2019)東京都の転入超過が8万人超、女性が男性を上回る ~20代女性が上京する理由とは?東京一極加速化を分析~、グローバル都市不動産研究所 https://www.global-link-m.com/company/institute/works/20190926296.html