Vol.04 若い女性はどこへ行った? 

ブログ/blog ①

前回までの振り返り

少々センセーショナルな題名でしょうか?しかしこの位の危機感があっても良いかもしれません。さて、前回までを振り返ります。近年「東京」圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)で女性の転入男性を上回る傾向であることが判りました。さらに「東京」圏のうち東京都に焦点を当ててみると、同じ傾向で、しかも、その傾向が毎年強くなっていました。東京都の人口規模は国内最大です。そこで今回は、東京都の状況について掘り下げていきます。

今回の結論

(1)人口の社会増減率(人口1000人当たりの年間転入者及び転出者数)を見ると、東京都の社会増は全国の他のエリアに比べて際立って高くプラスで、さらに東京都の増加数を男女比で見ると、女性の増加数は男性の約1.5倍。

状況をデータで見ると・・・

まず、社会増減率について、全国の都道府県を比較してみましょう。

図表4-1 都道府県別の社会増減率(2019年度)

図表出典:LIFULL HOME’S総研(2021)「地方創生のファクターX 寛容と幸福の地方論」

図表4-1の左側にある表を見てみましょう。都市部を抱えるエリアが社会増減率のプラス(青数字)の上位に来ています。なかでも上位4位まで東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)が占め、特に東京都の増加は際立っています

上記は予想の範囲内かもしれませんね。では次に、男女別で増加数を見てみましょう。

表4-1 女性が増加(転入)したエリア(2018年)

表出典:天野馨南子(2019)人口減少社会データ解説「なぜ東京都の子ども人口だけが増加するのか」(中)-女性人口エリアシャッフル、その9割を東京グループが吸収-、ニッセイ基礎研レポート 2019-07-16   *ブログ執筆者による加工あり。

表4-2は、女性増加数多い都道府県の上位8位を示しています。上位の都府県は、図表4-1と同様に都市部を抱えるエリアでした。また図表4-1と同様に、1〜4位は東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)が占め、トップは他を引き離して東京都でした。その東京都では、女性の増加数は男性よりも多く、男性の約1.5倍であることが判りました。東京都では他のエリアよりも転入数が多く、なかでも女性の転入数が目立つということですね。

なお、上記の図表はそれぞれ2019年度と2018年のものであり、その後の2021年に東京都の人口は社会減となりました。コロナ禍の影響と思われます。しかし、2022年には再び社会増に戻りました。コロナ禍で一時的に東京都の人口は社会減に転じたものの、ここまで見てきた動向は、トレンドとして今後も一定期間続くのではないでしょうか。

次回は、この動向をさらに年齢別で見ていきます。

まとめ

(1)人口の社会増減率を見ると、東京都の社会増は全国の他のエリアに比べて際立って高くプラスで、さらに東京都の増加数を男女比で見ると、女性の増加数は男性の約1.5倍。

参考

①LIFULL HOME’S総研(2021)「地方創生のファクターX 寛容と幸福の地方論」https://www.homes.co.jp/souken/report/202108/

②天野馨南子(2019)人口減少社会データ解説「なぜ東京都の子ども人口だけが増加するのか」(中)-女性人口エリアシャッフル、その9割を東京グループが吸収-、ニッセイ基礎研レポート 2019-07-16 https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=62042?pno=1&site=nli

③総務省統計局人口推計 https://www.stat.go.jp/data/jinsui/index.html