前回の振り返り
日本の人口減少と並行して静かに進行していること。それについてvol.1では、若い女性たちの地方から都市への移動が増加していること、「東京」圏では近年、若い世代の男性に比べて、若い女性の人口割合の増加傾向があることを見てきました。さらに詳しく見て行きましょう。
今回の結論
(1)「地方」圏から転出した人の多くが、他の圏域よりも「東京」圏へ転入したと考えられる。
(2)「東京」圏における女性の転入数は、近年、男性を上回る。
状況をデータで見てみると・・・
まず、グラフ2-1を見てみましょう。このグラフは1955年から2020年までの「東京」「名古屋」「大阪」「地方」それぞれの圏域での、転入超過数の推移を表しています。
なお、ここでの「東京」圏は、東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県、「名古屋」圏は、愛知県・三重県・千葉県、「大阪」圏は、大阪府・京都府・兵庫県・奈良県、「地方」圏は、それ以外の道県を示しています。
グラフ2-1 日本の転入超過数の推移(日本人移動者、1995年ー2020年)
近年、「名古屋」圏(緑の線)と「大阪」圏(赤の線)の動きはあまり大きくありませんが、「地方」圏(灰色の線)の転出超過と「東京」圏(青い線)の転入超過は、はっきりしています。「地方」圏から転出した人の多くが、「名古屋」「大阪」よりも「東京」圏へ転入したと考えられます。
次に、グラフ2-2を見てみましょう。今度は「東京」圏へ転入した人々に焦点を当て、2011年から2021年までの転入超過数を男女別で見てみます。
グラフ2-2 男女別東京圏への転入超過数(対地方圏)2011年ー2021年
男女とも「東京」圏への転入が続いているのはグラフ1-1の通りです(2019-2021年はコロナの影響で減少)。特徴的なことは、女性の転入数(赤い線)が男性(青い線)を上回ることが続いていることです。第1回で示した「東京」圏における近年の若い女性の人口割合の増加傾向が、若い男性よりも強いことがここでも判りました。
まとめ
(1)「地方」圏から転出した人の多くが、他の圏域よりも「東京」圏へ転入したと考えられる。
(2)「東京」圏における女性の転入数は、近年、男性を上回っている。
参考文献
①国土交通省(2022)地方における女性活躍 参考資料 資料5-2 https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001464940.pdf
②LIFULL HOME’S総研(2021)「地方創生のファクターX 寛容と幸福の地方論」 https://www.homes.co.jp/souken/report/202108/