Vol.13 そして彼女たちは戻らない。

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前回の振り返り

これまで、地方から若い女性が都市部、特に東京圏へ転出する傾向が強いこと、地方における若い世代の性別人口の不均衡という状況について見てきました。ところで、若い女性たちは転出した後、生活の拠点とするエリアについてどのような選択をしているのでしょうか。今回は地方から転出する若い女性たちのその後に注目します。

今回の結論

(1)地方の若い女性たちは、男性に比べ、一度転出すると地元へ戻るという意向が薄く、実際も地元へは戻らずに転出先がその後の生活の拠点となる傾向がある。

状況をデータで見ると・・・

東京に流入した若い女性たちの意向

多くの若い世代が転入している東京都を例に状況を見てみましょう。転入した若い女性たちは、その後の生活の拠点についてどのような意向を持っているのでしょうか。グラフ13-1は、東京都に転入した20代を対象として、地元に戻る意向の有無を尋ねた結果です。

グラフ13-1 将来地元に帰りたいと考えていますか?(2019)

グラフ出典:市川宏雄 監修(2019)東京都の転入超過が8万人超、女性が男性を上回る ~20代女性が上京する理由とは?東京一極加速化を分析~、グローバル都市不動産研究所 *調査対象:上京経験のある東京都在住の20〜29歳の男女、調査期間:2019年9月13日〜9月19日、有効回答数:500人(男女250人ずつ)、インターネットによるアンケート調査 *回答者は一つだけ選択 *ブログ筆者による加工あり

グラフの横軸は8項目に分かれていますが、それらを便宜的に、地元に「戻る意向なし」(Aグループ)、「戻る意向あり」(Bグループ)、「その他」(Cグループ)の3つのグループにまとめます。グラフ左端がAグループ、左端から2番目〜6番目までがBグループ、7〜8番目がCグループです。

グループで見てみると、A「戻る意向なし」が全体の約半数(46.4%)を占めており、B「戻る意向あり」上回っています。さらにCも「戻る意向なし」ですのでAに上積することになります。

男女別に見てみましょう。A「戻る意向なし」では明らかに男性より女性が多く、B「戻る意向あり」の各項目のほぼ全てで男性より女性が少ないことが判ります。男性と比較して女性の方が地元に戻る意向薄いということになります。

実際の選択は?

しかし実際にはどのような選択をしているのでしょうか。これまでの、例えばvol.1の東京圏での若い世代の女性の増加、Vol.8での長野県の男女・年齢別転出入などを見ると、実際も(意向と同様に)、地元から転出した若い女性たちの多くは、地元には戻らないという選択をしていることが判ります。

地方の自治体の取組みは?

こうした状況に地方の自治体は対応しているのでしょうか。これを課題とした地方自治体の例としては、兵庫県豊岡市を挙げることが出来るでしょう。同市は、若者回復率という独自の指標を作成し、転出した若い世代、とりわけ若い女性が地元に戻らない状況に対して警鐘を鳴らし、就労支援など女性を呼び戻せるようなまちづくりを目指しています。

次回以降は、なぜ特に若い女性たちが転出するのか、そして戻らないのか、その理由を探っていこうと思います。

まとめ

(1)地方の若い女性たちは、男性に比べ、一度転出すると地元へ戻るという意向が薄く、実際も地元へは戻らずに転出先がその後の生活の拠点となる傾向がある。

参考文献

①市川宏雄 監修(2019)東京都の転入超過が8万人超、女性が男性を上回る ~20代女性が上京する理由とは?東京一極加速化を分析~、グローバル都市不動産研究所          https://www.global-link-m.com/company/institute/works/20190926296.html

②LIFULL HOME’S総研(2021)「地方創生のファクターX 寛容と幸福の地方論」https://www.homes.co.jp/souken/report/202108/

③長野県総合計画審議会 (2022)次期総合5か年計画の策定について(答申案) https://www.pref.nagano.lg.jp/kikaku/kensei/soshiki/shingikai/ichiran/sogokeikaku/plan3/documents/shiryou2_toushinan.pdf

④第2期豊岡市地方創生総合戦略(第5版) (2023)兵庫県豊岡市 https://www.city.toyooka.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/027/467/sougousenryaku_2-5.pdf